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パートナーの転勤がキッカケで宮崎県日南市へ移り住み、エスプールと出会ったという酒井さん。現在エスプールグループ初の女性役員として働く酒井さんは、2016年に入社して以降、様々なポジション・環境において全力で挑戦し続けてきたといいます。今回のインタビューでは、そんな酒井さんの遍歴や仕事に対する想いを深堀りします。女性役員としてのあり方、今後についてもお話を伺ってきました。
1985年生まれ、高知県出身宮崎県日南市在住。2016年に株式会社エスプール入社。2019年に株式会社エスプールリンクとして、それまでは事業部であった採用支援事業が子会社化。エスプールリンクでは、“累計400社以上、年間61万件”の応募対応実績のノウハウで、採用までの流れを最適化し、採用効率の向上を支援する仕事に携わる。
エスプールに入社する前に、最も長く働いていたのは約6年間勤務した大手脱毛サロンでした。まずは自身で施術を担当し、やがて丁寧な対応が認められて教育担当に。そして、お客様にプランをご案内するカウンセラーになりました。カウンセラーの仕事にはとてもやりがいを感じていましたし、自分にとって天職だと思っていましたね。脱毛サロンの技術やサービスに自信を持っていましたし、「きちんと施術を受ければキレイになれる」という確信がありました。そんな自信を胸に、お客様のお話を傾聴し、お悩みに答えられるよう提案をし続けていたら、気付けば全国にいるカウンセラー約3,000名の中で3位まで昇りつめることができたんです!
しかし、結婚を機に宮崎県日南市へ移住することになり、脱毛エステサロンを泣く泣く退社しました。移住先である日南市は縁もゆかりも無い土地だったため、仕事と現地での交友関係を手にするために、ちょうど欠員の出ていた『日南市雇用創出プロジェクト』に参加する運びとなったんです。
酒井:当時エスプールは日南市の誘致企業としてコールセンターの立ち上げを決めており、たまたま私の勤務先に当時事業部長だった鬼木さんが出店場所候補の視察に訪れたんです。その際に雑談していたら、「一緒に仕事をしないか」とお誘いを受けました。
酒井:そうですね。鬼木さんの人柄に惹かれた部分もありますが、入社前のオペレーターという立場の私に対してフランクで、カリスマ性のある役員陣に驚いたのを強く覚えています。また、“ソーシャルビジネス”という言葉に都会的でキラキラしている印象を受けましたし、なによりサービスで社会課題を解決する姿勢に感銘を受けて入社を志望することとなりました。
そうして面接に臨んだのですが、最初はオペレーター募集に応募していたものの、面接の際に私の経歴などを鑑みて「センター長として働いてほしい」とオファーをいただいたんです。オペレーターとしてではなく、入社時からセンター長を担当してほしいという突然のオファーに驚きましたが、「オープニングだし挑戦してみようかな」と思い、日南市でのコールセンター立ち上げにセンター長として携わらせていただくことになりました。
酒井:コールセンターでの仕事はアルバイトの応募受付がメインだったのですが、センター長として入社したとはいえ、まず実際の業務について学ぶ必要があったため、最初はとにかくオペレーションを覚えることに必死でした。全員オープニングスタッフのため、スタートはみんな一緒。その中でセンター長というポジションを務めることに気負いがあったため、役割を果たせるよう貪欲に勉強しました。
酒井:全国各拠点の立ち上げに尽力しました。出張で1~2ヶ月家を空けることも珍しくない状況でしたが、パートナーである夫が応援してくれていたお陰で、仕事にのめりこむ毎日でした。
しかし、そんな生活を数年続けていたある日、家族の存在を見つめ直す機会があり、キャリアを持ったまま家庭との両立を実現できないか、社長の沼野さんへ相談してみたんです。そうしたら「いつでも産休に入れるようにフォローもするし、産後もキャリアとして戻ってほしい」と背中を押していただいて、妊娠・出産を経験することになりました。
はい。同時に、執行役員への登用も打診をうけていました。役員の打診をいただけた理由は、“新しい仕組みづくりへの評価”と“シンボルとしての適性”だったと考えています。
立ち上げに携わったコールセンターで働くメンバーたちの声をヒアリングし、仕組み化できたことへ対する評価です。当時は地方で働くメンバーに対し、東京で働くエスプールの仕組みでルール化するのは限界がありました。わかりやすく言えば、働き方がそもそも異なるのです。通勤で使う交通機関の本数が少なく働ける時間が限られていたり、土日祝勤務が当たり前ではなかったり……。
そういった点を踏まえて、地方のコールセンターのスタッフも働きやすい環境になるよう、エスプールリンクとして分社化した際に、人事のみなさまに協力いただき新たな仕組みを作りました。その功績が役員候補となる要素の1つだったと考えています。
もう1つは“シンボル”としての必要性です。地方で子どもを育てながら働く私が役員になれば、仕事と家庭を両立するロールモデルになれますし、営業職のイメージがまだ強かったエスプールに“運用”の重要性を伝えられる存在としても適任だったのかなと考えています。
産休に入る数ヶ月前に本格的な打診を受けて正直不安もありましたが、自分がシンボルとなることで、エスプールで働く誰かのためになれるのであればという想いで受け入れました。
はい。でも、産休に入る2~3ヶ月前に役員に就任しましたが、“半育休”という会社の制度や手厚いサポートに助けられました。また、ちょうど新型コロナウイルスの流行によってリモートワークが普及したタイミングだったのも、子育てをしながら役員として活躍できた要因の1つだと考えています。
大きく2つあります。1つは、数値に否が応でも目がいくようになったという点。今までは営業がとってきた仕事に対して、運用という立場で意見することもありました。しかし、いざ立場が変わって、雇用を守るためには“売上”が不可欠だと再確認したんです。
そのため、どのように営業が売りやすい状態にするか、難しいお題でも一度は自身でも考えるようになりました。今までは営業の提案に「そんなのできない!」と意見することもあったのですが、「どうやったらできるか」と線引きを変えていきました。
そうですね。2つ目は、本当に人を思った行動ができるようになったという点でしょうか。今までも共に働いてくれているメンバーへの想いは変わりませんが、役員になって実現できることの範囲が大きく変化しました。
これは出産を経て得た目線でもあるのですが、今までも女性が活躍する場で働いていましたし、最大限の配慮をしてきたつもりでした。しかし、いざ自身も出産してみると、急に仕事を休まなければならなかったり、不安を抱えたりと、本当に家庭と仕事の両立は難しいと痛感したんです。
以前から、「子どもが体調不良で休みたい」というスタッフには休暇をとるよう勧めていましたが、実際はその場限りで解決する問題ではありません。体調回復まで数日かかるケースもあります。そのため、子どもの熱が出た際には最初に休みを多めに取るよう促したり、翌日の連絡が負担にならないよう予めルールを決めたり、などと当事者になって初めて感じたことを体現できるようになったのも大きいです。
その通りです。キャリアアップによって立場が偉くなるというよりは、“影響できる範囲が増えていく”イメージです。昇進は責任が増えるだけではなく、環境を自身の手で変えられるチャンスが増える機会でもあります。人のために本気で起こしたい行動が実現しやすくなるため、「もっとこうあればいいのに」と思う気持ちがあるものの、プレッシャーを感じて昇進することに悩んでいる方がいるなら「昇進するのも悪くないよ」と伝えたいです。
役員だから特に気を付けるようになったというわけではありませんが、どれだけ関わる方が多くなっても、“本音”で話すことの重要性は変わりません。管理職だけに限らず、どんな役職でも一人ひとりと向き合い、その人に寄り添うことは大切にしています。
もちろん、どうしても管理職と話す機会が多いため全員と同じ量で話せているわけではないのですが、だからこそポジティブなメッセージの発信や、感情のこもったコミュニケーションを心掛けています。感情がこもりすぎて、文章など長くなってしまいますが…(笑)。
酒井:全国の各拠点でzoomを常につなげて、距離を超えたコミュニケーションができるようにしています。常に誰にでも相談できる状態を構築することによって、よりコミュニケーションが活発化した実感があります!
酒井:私は山本五十六さんを尊敬しているため、実際にやってみせて背中を見せることを意識しています。偉くなったと履き違え、「後はヨロシク」と任せきりでは周りはついてきません。新しい取り組みほど、自分も積極的に触れてみて相手にも伝えることを意識していますし、人に伝える立場だからこそ“恥ずべきこと”をしていないか常に自身も振り返っています。
今後は、地方にいながらキャリアを築き上げていける仕組み作りに注力したいと考えています。これまで、オペレーターは新サービスの開発などに携わることはほとんどありませんでした。しかし、新しいプロジェクトにオペレーターを参加させるなどして“オペレーターも会社の主役である”という当事者意識を持って、地方から本社を盛り上げるような仕組みを作り上げていきたいです。
これまではセンター長になったあとは本社スタッフへ昇進するのが一般的でしたが、地方でも同じようにキャリアを積める基盤を作り、それぞれのベストな環境下でもキャリアアップできる制度や環境を作って行きたいです。
色々ありますが……まずマネジメント業務に悩んでいる方に関しては、もっと本音で伝えるだけで解決することは多いと思っています。管理職になると“自身はどう思うか”、“会社はなんと言っているか”といった点で板挟みになりやすいですが、だからこそ正直に自分の考えと状況を伝えるといいかもしれません。
ただし、マネジメントをする上では、やはりメンバーを深く知ることも重要です。自分から歩み寄って相手の話を傾聴し、その上で自分も素直になって信頼を獲得することが大切だと思います。あとは、後継者を作るための仕組みも重要かもしれません。組織をマネジメントする上で後継者問題を解決するには、仕組みやマニュアルを作るのも手段の1つだと考えています。
キャリアを積むというと階段を昇っていくイメージが強いかもしれませんが、キャリアは必ずしもキレイで等間隔な階段ではありません。もしかするとキャリア“アップ”という言葉があなたを悩ませているかもしれませんが、私は自分の進む道を選択する際、前後左右、上下どちらに行っても今と異なった選択をした先には成長があると考えています。
「このタイミングで○○したら、どうなるんだろう」と気にしていることは私にもありました。女性の場合は、特に妊娠や出産について仕事との両立面で悩まれることも多いかもしれません。しかし、いま振り返ればどの選択も自身を形付けるかけがえのない経験です。ぜひ、一般論にとらわれず自身の思うまま進む道を選択してください!