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“見えにくい困りごと”に気づくことから。障がい者雇用の質向上に向けた体験型フォーラム

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“見えにくい困りごと”に気づくことから。障がい者雇用の質向上に向けた体験型フォーラム

障がい者雇用支援サービスを展開するエスプールプラスは、5月15日、東京大学・長井志江教授と連携し、顧客企業向けに発達障がい理解体験型フォーラムを開催しました。
講義やVR体験、合理的配慮について考えるワークを通じて参加者が向き合ったのは、発達障がいのある方が感じる“見えにくい困りごと”です。

当日の様子を振り返りながら、障がい理解を深めることが、働きやすい環境づくりや、これからの障がい者雇用支援にどうつながるのかを考えます。

1|障がい者雇用の質を高めるために、まず必要なこと

障がい者雇用では、雇用の「数」を増やすことに加え、障がいのある方が安心して働き続け、その力を発揮できる環境を整えていくことが大切です。働く場所を広げるだけでなく、その先の働きやすさを考えていくことが、雇用の「質」を高めることにつながります。

そのためには、障がい特性への理解を深めるとともに、本人との対話を通じて、それぞれに応じた合理的配慮を考えていくことが欠かせません。 今回のフォーラムは、顧客企業で障がい者雇用に携わる担当者とともに、障がい理解や合理的配慮について学び、その気づきを職場での実践につなげることを目的に開催しました。

2|講義で学ぶ、見え方・感じ方の違い

当日は、東京大学大学院教育学研究科の長井志江教授による講義からスタートしました。
長井教授は、認知科学・発達認知科学の分野で、一人ひとりの認知特性や発達特性に関する研究を進めています。講義では、その知見をもとに、発達障がいのある方の見え方や感じ方について解説がありました。

たとえば、一般的には起こりやすい錯視が、発達障がいの特性によっては起こりにくい場合もあるといいます。

実際には同じ明るさなのに、一方が明るく見えてしまう錯視の例

出典:Edward H. Adelson, “Checker Shadow Illusion”(MIT Perceptual Science Group)
「チェッカーシャドウ錯視」

これは、周囲の背景や過去の経験から全体を予測して見ているのではなく、目の前の情報を細かく、正確に捉える傾向があるためです。こうした感じ方の違いは、日常生活で困りごとにつながることがある一方、微細な違いに気づける強みとして発揮されることもあります。

感じ方の違いは、発達障がいのある方だけに限ったものではありません。体調がすぐれない日に大きな音が気になったり、落ち着いた空間にいた方が安心できることは、誰にでも起こりうるものです。

そうした違いを「特別な誰かの話」ではなく、自分たちの身近な感覚の延長線上にあるものとして捉えること。参加者はまず、障がい理解の入り口となる視点に触れました。

一人ひとりの感じ方の違いを知ることは、その人に合った働き方や関わり方を考える第一歩になります。

3|VRで体験した、“見えにくい困りごと”の一端

講義の後に行われたのが、VRゴーグルを用いた体験です。
参加者は、外からは見えにくい困りごとが再現された世界を体験しました。普段何気なく過ごしている空間も、見え方や感じ方が変わることで、情報量の多さや刺激の強さが、過ごしにくさや集中しづらさを招くことがあります。

VR体験は、障がいのある方の認知の違いをすべて理解するためのものではありません。それでも、外からは見えにくい困りごとの一端に触れることで、「どのような環境で困りごとが生じやすいのか」「どのような配慮が働きやすさにつながるのか」を考えるきっかけになります。

参加者からは、次のような声が寄せられました。


「普段なかなか理解しづらい部分だからこそ、実際に見え方を体験できたことは大きな学びになりました。」

「体験を通じて、自分の見え方と近い部分もあることに気づきました。発達障がいのある方だけの特別な感覚ではなく、共通する部分もあるのだと感じました。」

こうした体験を通じて、参加者は障がい特性をより具体的に捉え、自社の職場環境に置き換えて考える視点を得ていました。

4|認知特性を手がかりに、働きやすい環境を考える

VR体験の後は、講義や体験で得た気づきをもとに、働きやすさについて考える時間へと進みました。

まず紹介されたのは、一人ひとりの情報の受け取り方や考え方の傾向を理解するための「認知特性アセスメント」です。
目標を立てる力、注意を向ける力、全体像を捉える力、順序立てて処理する力など、得意な情報処理の仕方は人によって異なります。
同じ仕事でも、どのような指示であれば理解しやすいのか、どのような環境であれば集中しやすいのかは、一人ひとり違います。

そこで大切になるのが、「人の能力を変える」のではなく、「環境の中にある障がいを見つける」という視点です。作業ペースや集中のしやすさ、指示の受け取り方、音や光などの環境の影響に目を向けることで、働きづらさの背景が見えてくることがあります。

障がい理解を、個人の特性を知るだけで終わらせず、職場環境や関わり方を見直す視点につなげていくことが大切です。

本人と職場の対話から考える、合理的配慮

ワークでは、「合理的配慮設計シート」を用いたロールプレイも行われました。

参加者は二人一組となり、「人事担当者」役と「障がいのある方」役に分かれて、合理的配慮について考えました。本人がどのような困りごとを感じているのか、職場としてどのような環境調整ができるのかを、役割に沿って整理していきます。

合理的配慮は、会社が一方的に決めるものではありません。本人の意向を尊重しながら、職場側の環境調整と、本人自身が取り組むセルフケアの両面から考えていくことが大切です。

参加者からは、次のような声も寄せられました。

「これまで合理的配慮は、本人との面談を通じて設定していましたが、アセスメントを活用し、本人と会社の双方が合意したうえで構築していくことの大切さを改めて感じました。」

「作業環境への配慮を重ねるだけでなく、それに対するスタッフの反応も見逃さないようにしたいと思いました。」

今回のワークは、障がい理解を知識として受け取るだけでなく、本人と職場がどのようにすり合わせ、働きやすい環境をつくっていくかを考える時間となりました。

|障がい理解を、雇用の質向上につなげていく

今回のフォーラムは、発達障がい理解をテーマにした取り組みでした。
その先にあるのは、より広い意味での障がい理解です。

見え方や感じ方の違いを知り、外からは見えにくい困りごとに気づくこと。環境の中にある働きづらさに目を向け、本人の意向を踏まえながら合理的配慮を考えること。

その一つひとつの積み重ねが、障がいのある方が自分らしく力を発揮できる環境づくりにつながります。

エスプールプラスでは、障がい者雇用の「数」だけでなく、「質」の向上に向けて取り組んでいます。今回のフォーラムも、顧客企業とともに障がい理解を深め、よりよい雇用のあり方を考えるための取り組みの一つです。
今後も、顧客企業と連携しながら、障がいのある方が特性や強みを活かしながら働ける環境づくりを支援していきます。

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