エスプール“らしさ”を紡ぎ、あなたに届けるメディア。
2026年7月7日、東京・日本橋兜町のKABUTO ONE Hall & Conferenceで、ZVC JAPAN株式会社主催の「Zoom CX Summit Tokyo」が開催されました。
最新テクノロジーやAIによるカスタマーエクスペリエンス(CX)の変革をテーマとした本イベントには、700名を超える参加登録があり、オープニングキーノートには、エスプール代表取締役社長の白川儀一が登壇。「AI時代の自治体CX―住民接点から持続可能な地域社会を実装する―」と題し、住民と自治体職員の双方の体験価値を高める、これからの行政サービスについて講演しました。
同日には、グループ会社のエスプールグローカルとZVC JAPANによる、自治体領域での連携開始も発表。本記事では、当日の講演内容を中心に、エスプールグループが描く自治体DXの未来を紹介します。

今回で第2回を迎えた本サミット。会場は、コンタクトセンターや顧客接点の変革に取り組む企業の実務者たちで埋め尽くされました。AIの活用が「構想」から「実装」のフェーズへと移りつつある熱気のなか、オープニングキーノートのステージに白川社長が立ちました。
講演の冒頭、白川社長は「成果を生む顧客体験をいかに実現するかというテーマは、企業活動の領域だけでなく、自治体領域においても極めて重要」と切り出しました。そのうえで、自治体領域のCXには2つの視点があると語ります。
ひとつは、地域で暮らす住民の体験価値(住民CX)。必要な情報や支援が、最小限の時間と労力で得られることです。もうひとつは、地域を支える自治体職員の体験価値(職員CX)。日々の応対負荷を軽減し、本来取り組むべきコア業務に集中できることです。
この住民CXと職員CXを両立させることこそが、AI時代における自治体CXの本質である──この考えが、講演全体を貫くメッセージとなりました。

エスプールグループで広域行政BPOサービスを展開するエスプールグローカルは、これまで400以上の自治体と取引を重ねてきました。
人口減少や高齢化をはじめ、あらゆる領域に課題が山積するなか、限られた人員で質の高い行政サービスを持続的に提供し、職員が地域の未来に向き合う時間を確保していくためには、これまで人の力によって維持されてきた仕組みを抜本的に見直す必要がある──それが、エスプールグループが自治体領域に向き合う出発点です。
数ある行政業務のなかで、エスプールグループが特に着目しているのが、電話や窓口といった「住民接点」です。
住民接点は、住民サービスの最前線であると同時に、地域課題の影響が最も集積する場所です。「制度や手続きが分かりにくい」「今すぐ誰かに相談したい」といった声が日々集まり、その一件一件が、行政サービスを改善し、地域課題を把握するための貴重なデータでもあります。
一方で、電話や窓口の応対は、問い合わせ内容が多岐にわたるにもかかわらず、人の経験と努力に依存している現場が多いのが実情です。その結果、住民には「待たされる」「たらい回しにされる」という体験が残りやすく、職員も日々の応対に時間を割かれ、コア業務に十分な時間を確保しにくい──。
だからこそ「住民接点の在り方を変えることこそが、住民CXと職員CXの両方を高める出発点になる」と白川社長は語ります。

鍵となるのは、AIの活用と、住民とのコミュニケーションから生まれる応対ナレッジの蓄積・活用です。
「AIを導入するだけでは、本質的な解決には至りません。重要なのは、現場に蓄積されている応対ノウハウを属人化させず、誰もが活用できる形に整えることです」(白川社長)。
住民とのやり取りを記録し、分類し、ナレッジとして再構成して、AIが活用できる状態にしていく。
この循環をつくることで、住民に対して、より早く、より正確で、「エフォートレス(手間や負担の少ない)」な体験を提供できるようになります。
具体的な事例として紹介されたのが、奈良市での取り組みです。
奈良市では2026年3月から、エスプールグローカルによるコンタクトセンターの運営が始まっています。職員の電話には「Zoom Phone」、コンタクトセンターには「Zoom Contact Center」、AIによる電話応対の自動化には「Zoom Virtual Agent」──いわば「フルZoom体制」での構築・運用が進む現場です。

この体制のうえで現在試行しているのが、AIボイスエージェントによる問い合わせ対応です。
奈良市が蓄積してきたFAQ情報と、エスプールグローカルが数百万件の住民対応を通じて培ってきたコミュニケーションデータ。この2つを組み合わせてナレッジ化することで、AIによる24時間自動応答の実現を目指しています。
実現すれば、夜間でも休日でも、時間を気にすることなく自治体に相談できるようになります。
「開庁時間を待って窓口に並ぶ体験から、必要なときに相談できる体験へ。これは、住民CXの大きな転換を意味します」(白川社長)
講演と同日の7月7日、エスプールグローカルとZVC JAPANは、自治体領域における連携開始を正式に発表しました。
エスプールグローカルが自治体向けBPOで培ってきた運用ノウハウに、ZoomのAIコンタクトセンター機能を掛け合わせ、AIと専門オペレーターが協働する住民対応モデルをつくっていく──奈良市で形になりつつある取り組みを、より確かなかたちで広げていくための、大きな一歩です。
白川社長が講演で強調したのは、この取り組みがひとつの自治体に閉じるものではない、ということです。
人口20万人未満の中小自治体が、単独で新しい仕組みを構築するのは容易ではありません。だからこそ、システムや人の共同運営にとどまらず、データやナレッジまで共同化し、広域で利用できる「共通ナレッジ基盤」を育てていく。
講演では、奈良市での実装モデルを次年度(2027年度)に120自治体へ展開するという、具体的な目標も示されました。その先に見据えるのは、住民の声を根拠とした新たな政策立案への貢献です。
エスプールグループは、2029年までにその実現を目指しています。


「住民接点を変える。職員体験を変える。行政運営を変える。そして、地域の未来を変える」──講演は、この言葉で締めくくられました。
AIはあくまで手段であり、目的は住民と職員、そして地域のウェルビーイングを高めること。
Zoomの高度なテクノロジーと、エスプールグローカルが自治体の現場で培ってきた運営ノウハウを掛け合わせながら、社会課題をビジネスの力で解決する。奈良市から始まったこの住民接点改革モデルは、これから全国の自治体へと広がっていきます。
関連リンク
・Zoom主催「Zoom CX Summit」に登壇(2026年7月1日リリース)
・エスプールグローカル、ZVC JAPANと自治体領域における連携を開始(2026年7月7日リリース)
・株式会社エスプールグローカル ホームページ